2010 Fiscal Year Annual Research Report
上場会社における取締役等の民事責任制度の機能とそのあり方に関する研究
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20730079
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Research Institution | Kanagawa University |
Principal Investigator |
和田 宗久 早稲田大学, 商学学術院, 准教授 (60366987)
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Keywords | 会社法 / 金融商品取引法 / 民事責任 / コーポレート・ガバナンス / 不実開示 / イギリス法 / カナダ法 / オーストラリア法 |
Research Abstract |
本年度(平成22年度)は、平成21年度に続き、会社法や金融商品取引法における民事責任制度を考えていくうえで、どのような場合に会社自身が株主・投資家に対して民事責任を負うのかということについて検討を行っていくことが、特に重要であるとの考えを前提に、主に比較法的な観点から研究を行った。 8月および9月には、「雑誌論文」の項目で掲げている論文「発行会社の株主等に対する民事責任(上)・(下)-不実開示責任に関する比較法的考察を中心に」において、本年度に2000年金融サービス市場法において発行会社の対投資家責任についての規定を入れるなどの動きのあったイギリス法を中心に、カナダ法、オーストラリア法の状況について分析を行ったものを公表した。また、本年度は、倒産した(または倒産しそうな)会社において投資家に対する賠償責任を認めた場合の債権者との利害対立の問題、および同問題にかかる米国証券取引委員会(SEC)の関わりのあり方について議論の蓄積の見られるアメリカ法の状況について資料収集・分析を行った。 さらに、本年度においては、わが国における上場会社における取締役等の民事責任に問題に関して、いわゆる「経営判断の原則」にかかる最高裁判決(アパマンショップホールディングス株主代表訴訟事件-最-判平成22・7・15本誌1353号26頁)が示されたこともあり、同判決および経営判断の原則に関する分析・検討も行った(この点の成果については論文を既に提出済みであり、次年度の早期に公表される予定となっている)。 アメリカ法の分析の成果およびこれまで行ってきた比較法的考察を踏まえた総合的なアウトプットについては、できる限り早期に公表したいと考えている。
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