2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20730081
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
名津井 吉裕 Osaka University, 高等司法研究科, 准教授 (10340499)
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Keywords | 当事者適格 / 訴訟担当 / 権利能力なき社団 / 当事者能力 |
Research Abstract |
本年度は、学会で「法人でない団体の当事者適格の訴訟担当構成について」というテーマの個別報告を行い、その内容を民事訴訟雑誌に掲載した。これは本研究の中核的問題について、我が国おける判例・学説状況を検討し、現時点での所見をまとめたものである。ここでは、法人格がないために実体法上の権利義務が帰属しない団体であっても、それ自体が民事訴訟の当事者として訴えを提起し、判決の名宛人になれることの理論的な説明について、近時有力な訴訟担当構成の内容を分析するとともに、これが克服しようとした通説たる固有適格説が、本来どのような着想の下に打ち立てられたものであったかを明らかにした。特に固有適格説は、従来、事件限りの権利能力を認めるものされてきたが、この「権利能力」を認めるという点が、我が国の法人法定主義との関係でおよそ成り立ちえないものと誤解されてきたことを指摘し、法人格ないし権利能力の有無とは別に、法人でない団体が主張し、または主張される実体法上の権利義務につき、個々の事件を処理するのに必要な限りで、当該団体に権利義務が帰属する旨の判決を許すことが、民訴法29条の本来の意義(ないし適用の効果)であることを指摘し、固有適格説に優位性があると結論づけた。もっとも、この結論はいまだ暫定的なものと考えており、英米法における信認関係に関する研究を経て、再考する必要がある。また、ドイツでの海外調査によって、近時の有力な研究成果のいくつかに触れることができたため、次年度以降の研究において比較法研究の成果も漸次発表できるものと考えている。
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Research Products
(2 results)