2009 Fiscal Year Annual Research Report
団体訴訟の民事実体法的基礎-民法・行政法・憲法からの複眼的アプローチ
Project/Area Number |
20730082
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Research Institution | Kinki University |
Principal Investigator |
宮澤 俊昭 Kinki University, 法学部, 准教授 (30368279)
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Keywords | 団体訴訟 / 公法と私法 / 集合的利益 / 消費者 / 環境 |
Research Abstract |
本年度は、行政法理論を視角の中心にすえて、消費者団体訴訟制度の検討を行った。 現行の消費者契約法によって定められている消費者団体訴訟制度においては、適格消費者団体の認定につき厳格な基準が設けられていることから、実際の運用も厳格に行われるならば、規制の民営化の一環として認定を受けた少数の適格消費者団体を利用するという側面が前面に出てくるとの指摘がなされている。また、適格消費者団体となるためには、内閣総理大臣の認定を受けなければならない(消費者契約法13条1項及び同2項)。さらに、2008年の消費者契約法等の改正によって、不当景品類及び不当表示防止法(景品表示法)と特定商取引に関する法律(特定商取引法)に消費者団体訴訟制度が導入された。この改正では、行政庁による行政処分によって執行されてきた行政規制の一部が、民事上の権利関係を規定する観点から規定し直されている(例えば、景品表示法11条の2など)。 このような状況から、民事実体法理論に限定した議論、あるいは行政法理論に限定した議論のいずれかを単独で団体訴訟制度の実体法的基礎とすることはできないことに加えて、ただ単純に両者を形式的に重ね合わせることによっても団体訴訟制度の実体法的基礎を構築することはできないことが明らかになる。ここから、団体訴訟制度の実体法的基礎を解明するためには両者の調和をいかに図り、融合させることができるのか、という視点からの考察が不可欠との前提が導かれた。この前提を立ち、現在の制度に関わる議論の整理と、その調和・融合のあり方を検討した(検討結果の詳細は、次年度以降に公表する予定である)。
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Research Products
(3 results)