2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20730083
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Research Institution | Tezukayama University |
Principal Investigator |
山岡 真治 Tezukayama University, 法政策学部, 准教授 (60351863)
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Keywords | 契約 / 給付不均衡 / フランス契約法の改正 / 契約正義 / 道徳 / 公平・衡平 / 債権法改正 / フランス民法 |
Research Abstract |
平成21年度は、昨年度から継続し、8月31日まで、フランスで在外研究を行っていた。フランス滞在の間、給付不均衡の問題を扱ったフランスの博士論文(いわゆるテーズ)など、日本では入手困難な資料を閲覧・複写することが出来た。また、フランスで生活を行ったことで、社会の中の法律上の問題が、日本とはことなる文脈で生じていることが分かり、大変勉強となった。この点については、「フランス・ナントで考える民法の行方など」(帝塚山法学18号、2009年)で、フランスの契約法改正の動向を紹介すると同時に、紙幅の制限からごく一部となったが公表した。法律用語が同じであっても、比較法による研究アプローチからは、その背景にある社会の違い(問題の顕在化の違い)を常に意識しておく必要があるという、ごく基本的であるが、忘れられやすい点を指摘したことに意義があるといえる。 本年度の当初の予定では、コーズ概念の分析がその中心のひとつとなると考えていたが、留学中に、フランスの博士論文の最近のテーマから、契約法においての「公平性」や、契約と「道徳」との関係などが注目されていることが分かった。フランスにおける「公平感」や「道徳観」は、「給付の不均衡(アンバランス)が生じている」と判断する際の思想的な土台となるものである。この公平性、道徳ないし正義は、20世紀前半に活躍した、ドゥモーグやりペールの見解に依拠しているものが多いことも研究から明らかになった。この点の成果については、未だ公表をなしえていない。
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Research Products
(1 results)