2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20730087
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Research Institution | Osaka University of Economics |
Principal Investigator |
福永 実 Osaka University of Economics, 経済学部, 准教授 (10386526)
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Keywords | 公物法 / 自然保護法 / 環境法 / 景観保護 |
Research Abstract |
本研究は「エコシステム・マネジメントの法構造分析」と題し現代自然保護法の指導理念とは何か、目然保護の為の法的手法はどのようなものであるべきか等々を検討しようとするものである。そして初度である平成20度は、日本法をとることを計画していた。平成20年度は幅広く日本法の状況を調査分析したが、中でも広島県福山市沖の鞆の浦において紛争が生じた鞆の浦埋立免許仮の事件を検討対象とした。事件は景観利益論がインテーマであるが、そればかりでなく、自然保護法やエコシステム・マネジメントの見地からも重要な論点が含まれていると考えたからである。鞆の浦は都景観としてよりも自然・歴史的景観の特有性に特徴があり、従来の景観利益論が都市景観を分析モデルとしていたこととの比較で重要な意義を有する。分析の結果、行政事件訴訟法改正の影響を受け、都市景観と自然景観を二区分する意義に乏しいものがあることを分析し、また自然景観保護の法的手法としての「仮の差止め」につき法的論点を抽出/分析した。研究報告を年度末の2月に名古屋大学行政判例研究会で実施し、それを踏まえた論文を3月前半までに脱稿した。業績として「自然・歴史的景観利益と仮の差止め-鞆の浦埋立免許仮の差止め事件(広島地決平成20年2月29日判例集未搭載)の考察を中心に」大阪経大論集60巻1号(2009年)として公刊することができた。 年間の予定計画は順調に履行されており、次年度はアメリカ法の判例分析を中心に研究対象を客観分析する予定でいる。
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