2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20730087
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
福永 実 広島大学, 法務研究科, 准教授 (10386526)
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Keywords | 公物法 / 自然保護法 / 環境法 / 景観保護 |
Research Abstract |
本研究は「エコシステム・マネジメントの法構造分析」と題し現代自然保護法の指導理念とは何か、自然保護の為の法的手法はどのようなものであるべきか等々を検討しようとするものである。そして計画3年目である平成22年度は、アメリカの法制度・判例分析(特に水陸の野生生物管理)、の検討を中心に行い、これを日本法制度と比較することを課題とした。特にアメリカにおける野生生物に対する「国家所有権の法理(state ownership doctrine)」あるいは「野生生物信託論(wildlife trust)」と呼ばれる法理論の19世紀以来の展開を、判例、各州立法化、各州憲法化に応じて検討した。野生生物が無主物であることはそれを放任するということを意味せず、適切な管理者が適切に管理すべきことが信託的にあるいは所有権的に要請される。 本研究の意義として、野生生物管理のみならず、より高次のレベルで国家による自然資源管理あるいは生態系管理の理論的根拠論を抽出することが幾何かできたことであり、このことによって、エコシステム・マネジメントの立法整備を図る上で重要な視座を提示し得る点に重要性が見出しうると考える。 なお研究成果を最終的にまとめる上で研究会での報告を予定していたが3月の地震により研究会の開催自体が年度内に実施することができず、そのため研究成果のとりまとめ自体に遅滞を生じてしまったが、これについては日本法制度を素材としつつ近々に成果を提出する予定である。
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