2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20730093
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
鹿毛 利枝子 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 准教授 (10362807)
|
Keywords | 戦後復興 / 市民社会 / 非営利分野 / 比較政治学 |
Research Abstract |
本研究の目的は、日本における第二次世界大戦後の復興の態様・進度の特徴を明らかにするとともにその説明を試みることである。研究3年目の本年度(平成22年度)は、前年度において行った準備作業をベースに、戦後復興をめぐる国際比較分析に本格的に取り組んだ。日本とヨーロッパにおける第二次世界大戦後の戦後復興は、その態様・進度において、どのような点で似ており、どのような点で異なっていたのか。またそれはどこまでがそれぞれに固有の条件に左右されており、どこまでが共通の要因の影響を受けているのか。前年までの都道府県間の比較研究では、社会的ネットワークの強弱が戦後復興の速度に重要な影響を与える可能性が示されたが、日本国内において当てはまった仮説が必ずしも国際比較の枠組みにおいても妥当するとは限らないので、引き続き、社会経済的要因、政策的要因等、他の仮説も念頭に置きながら、柔軟に要因を探っていった。 歴史的条件・戦時中の経験・戦後置かれた条件において大きく異なるヨーロッパ諸国についての分析は困難もあったが、計量的・質的分析からは、社会経済的要因のみならず、政策の態様と社会ネットワークが相まって復興の速度・態様に影響を与える可能性が示唆された。 本研究の今年度の成果の一部は、著書(2点、うち1点は共著)の形でまとめることができた。いわゆる「学会」ではないので本報告書には記載しないが、最終年度の今年度は特にアメリカで多くの研究会で報告の機会を頂き、社会科学系・歴史系にまたがる多くの研究者から貴重なフィードバッグを得ながら軌道修正を行い、研究に繋げることができた。
|