2009 Fiscal Year Annual Research Report
「帝国」における民主主義の変容ー欧州の思想的配置から
Project/Area Number |
20730105
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Research Institution | Komazawa University |
Principal Investigator |
山崎 望 Komazawa University, 法学部, 講師 (90459016)
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Keywords | グローバル化 / 再帰的近代化 / 帝国 / ラディカルデモクラシー / ナショナリズム / 熟議民主主義 / 格差社会 / テロリズム |
Research Abstract |
本年度の研究は研究の目的の後半にあたる「帝国」化に対応する民主主義の理論の構築に重点を置いた。 研究実施計画に従い、本課題の達成のため昨年研究協力者の協力を仰ぎつつ大学・分野横断的に研究者を招集して立ち上げた研究会(政治哲学研究会、デモクラシー研究会)を基盤に、第一に主権・生権力・承認権力の三つの権力と、民主主義の関係について考察を行った。特に生権力と承認をめぐる権力については、世界経済危機との関連を踏まえ、福祉国家レジーム論と社会的排除論の先行研究を導入する事で考察を深める事が可能となった。 この成果については、今年5月の日本政治思想学会の研究大会での報告をし、さらなる検討の上で同じ問題意識を持つ研究者と共に共著として公刊する予定である。 また昨年に課題として挙げていたD・ミラー、J・ハーバーマス、A・ネグリの政治理論を現代世界の秩序の変容との緊張関係の中から再検討する作業を進めた結成果については、昨年秋から今年3月にかけて順次公刊中である(下記参照)。さらに検討を重ね今年中に複数の民主主義論の研究者の論考と共同して本として広く世間に問う(今年秋に出版) 加えて現在、本研究成果の総括ともいうべき「帝国」化と民主主義論の関係をめぐる著作の執筆を進めており、公刊を行う予定である。 今年は上記の執筆活動を中心としつつも、昨年討論者を務めた日本政治学会研究大会で世界経済危機によって国家と市場の限界が指摘される中で期待を集めている「新しい市民社会」論や社会的起業論についての検討も、研究協力者の協力を仰ぎつつ行いたい。
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Research Products
(4 results)