2011 Fiscal Year Annual Research Report
「帝国」における民主主義の変容ー欧州の思想的配置から
Project/Area Number |
20730105
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Research Institution | Komazawa University |
Principal Investigator |
山崎 望 駒澤大学, 法学部, 准教授 (90459016)
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Keywords | 「帝国」 / 再帰的近代化 / グローバル化 / ラディカルデモクラシー / リベラルナショナリズム / 熟議民主主義 / 闘技民主主義 / テロ |
Research Abstract |
研究目的である「帝国」化の具体的様相の把握と、それに対応する民主主義の理論の構築を行った。 研究実施計画に従い、本課題の達成のため、大学・分野横断的に研究者を招集して立ち上げた研究会(デモクラシー研究会、政治哲学研究会、政治社会理論研究会)を基盤として研究を進めた。 第一に「帝国」化の具体的様相を把握すべく、主権・生権力・承認する権力の三つの権力の再編について考察した。まず現在の世界経済危機下における福祉国家レジーム論の再検討として、国民国家や自由主義を相対化する可能性を模索した論文「ポスト・ナショナル/リベラルな福祉をめぐって」を学会誌上において公刊した。 さらに福祉において重要な概念である「社会保障(social security)と安全保障(security)を組み合わせて、リベラリズムとナショナリズムに共有されている、閉鎖的な主体像や自立概念を批判し、それを越える民主主義論を構築し『実践する政治哲学』に所収の論文で公刊した。 第二に、「帝国」化の諸相に対応する民主主義論の構築として、D・ミラー、J・ハーバーマス、A・ネグリの現代政治理論を現代世界の秩序の変容との緊張関係の中から再検討する作業を進め、『デモクラシーの擁護」(共著)において公刊した。デモクラシー研究会を基礎にした本業績は、デモクラシーの擁講の必要性という主張を共有する他の著者と「共同論文」を執筆し、共同研究の新たな形を提示することができた。 さらにテロなどの暴力の問題を正面から取りあえげてきた闘技民主主義論を検討課題に加えた上で、2月には本研究成果の総括ともいうべき「帝国」化と民主主義論の関係をめぐる著作(『来たるべきデモクラシー』)を公刊した。 これらの公刊した著作に対して、様々な分野の研究会において招待講演を行っており(作成時点で2件)、新たな民主主義理論の進展を触発することができた。
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Research Products
(7 results)