2009 Fiscal Year Annual Research Report
戦前日本の政党内閣期における二大政党制の構想と改革に関する研究
Project/Area Number |
20730109
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
小山 俊樹 Ritsumeikan University, 文学部, 講師 (90454503)
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Keywords | 政党政治 / 近代日本 / 憲政の常道 / 二大政党制 / 元老 / 政官関係 / 政治改革 |
Research Abstract |
本研究のテーマは、戦前昭和期の日本に成立した二大政党制にもとづく議会政治がどのように形成され、運用されたのか、さらに政党システムをめぐってどのような論議がなされたのかを具体的に解明し、近代日本議会史上における二大政党制の課題と評価を検証することにある。本年度は、二大政党論の変遷を具体的な政局の動向をふまえて分析することを重視した。第一に、二大政党形成期における政党政治の構想について、(1)比較第一党による政権担当の正統性が高まり、「憲政」の擁護と「多数党」の重視が促進された結果、二大政党制の形成がもたらされたこと、(2)政党政治の継続という選択肢のなかで成立した政変後の野党第一党への政権移譲形式に対して、本来の政権変動は総選挙による議席移動に伴うべきとする論議が多数発生したことなどを検証した。第二に、二大政党による政権交代が実現した時期の政治改革構想として「行政制度審議会」「選挙革正審議会」などの各種審議会の活動を取り上げ、二大政党による改革がいずれも失敗した原因を検討した。第三に、満洲事変後の政軍・政官関係の動揺と、二大政党による政権側の対応に関して、(1)政友・民政両党の「大連立」構想の出現とその失敗、(2)五・一五事件後の政党政治中断などの局面を扱い、いずれも二大政党が相互の協力を積極的に行わず、反対党への攻撃や政権の獲得(参加)を重視したことを検証した。第四に、二大政党による政治の影響を色濃く受けた内務官僚、および陸海軍の軍政担当者や少壮将校などの反応を追い、その政党観を検討した。上記の点をふまえ、本研究では戦前期の二大政党制について、新聞・雑誌メディアや知識人の政権交代構想、二大政党による政治改革の挫折、二大政党対立と政党政治崩壊の関連性など、従来の研究と異なる視点からの成果を提示し得た。
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