2009 Fiscal Year Annual Research Report
国際政治の多極化と日本の多国間外交との相互作用に関する研究―1970年代を中心に
Project/Area Number |
20730112
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
潘 亮 University of Tsukuba, 大学院・人文社会科学研究科, 准教授 (80400612)
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Keywords | 外交史 / 国際関係史 |
Research Abstract |
昨年度は本件研究の第二年度目に当たり、幅広く研究活動を行ってきた。まず、4月に国連の中国代表権問題をめぐる日米英関係についての英文論文の最終稿を仕上げ、7月初頭、International History Review誌にて掲載された。それと同時進行する形で、6月にワシントンで開催された米国外交史学会にて1970年代前半の日米安保関係に関する研究報告を行い、好評を得た。学会後、国立公文書館にて主にニクソン政権期の対日安全保障政策に関する資料調査を集中的に行い、多くの一次資料を入手した。これらの資料と昨年2月に豪州における資料調査で手に入れたものを活用しながら、10月中旬に、日本国際政治学会年次大会にて地域安全保障協力をめぐる70年代の日豪関係についての部会報告を行ったが、そのペーパーに更なる修正を施した上、近頃ジャーナル論文または共著の形で公表する予定である。安全保障面の多国間関係と並んで非政治面での日本の多国間外交に関する研究にも力を入れた。その初期的な成果として、本年3月にドイツで開催されたユネスコと冷戦についての学会(ユネスコ事務局主催)に出席し、冷戦期日本の対ユネスコ協力に関するペーパーを報告した。このテーマに関する先行研究は国際的にも少なかったため、報告は大きな反響を呼んだ。今後、ペーパーを加筆修正した上、刊行する方向へ準備を進めていく。年度中、学会以外の場でも積極的に戦後日本の多国間外交の歴史に関する研究及び執筆活動に従事してきた。その一例として、『外交フォーラム』2009年10月の国連特集に戦後日本の国連外交を総括する論文を寄稿したことがあげられる。次年度中は上記した研究成果を踏まえ、資料調査、執筆と成果公表の三方向で一層努力を重ね、本プロジェクトの完成を目指していきたい。
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