2008 Fiscal Year Annual Research Report
核時代の国際政治とパグウォッシュ会議における日本の科学者の役割
Project/Area Number |
20730121
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Research Institution | Nishogakusha University |
Principal Investigator |
黒崎 輝 Nishogakusha University, 国際政治経済学部, 非常勤講師 (00302068)
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Keywords | 国際政治史 |
Research Abstract |
パグウォッシュ会議は、冷戦時代、核戦争の回避や核軍拡競争の抑制に努めたことで知られる科学者国際会議である。その活動には被爆国である日本の科学者も関わっていた。本研究はパグウォッシュ会議とその日本グループの活動を考察対象として、核時代をトランスナショナル・ヒストリーの視点から捉え直すことを目指している。この目的のため、平成20年度は日本および米国で史資料の調査収集を実施した。日本国内では、パグウォッシュ会議に関連した文献および、トランスナショナル関係論や社会運動研究、戦略研究、軍備管理研究、冷戦研究、日本政治外交研究に関する二次資料を調査ユーセッツ工科大学(MIT)の公文書館およびケネディ大統領図書館(JFKL)にて関連文書の調査した。また、パグウォッシュ会議の活動の実態を一次資料に依拠して解明するため、米国ではマサチを実施した。パグウォッシュ会議は民間団体であるがゆえに、その活動の実態を明らかにするために必要な史資料には制約があるが、MITやJEKLで調査した文書群からは、パグウオッシュ会議の内部文書や、パグウォッシュ会議に関わった科学者と米国政府のつながりを示す機密文書なども見出すことができた。そこには公刊された文献からは得られない、本研究にとって利用価値の高い情報が含まれており、その意味で非常に有益な調査旅行となった。帰国後は、収集した各種の史資料に基づき、軍備管理問題をめぐるパグウォッシュ会議の活動を、当時の国際政治の展開と関連付けながら跡付け、考察する作業を行った。また、これと並行して研究成果の一部を発表するため、日本グループの初期の活動に関する論文の作成に取り組み、学会誌に投稿する準備を進めた。
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