2010 Fiscal Year Self-evaluation Report
The Pugwash Conferences and Japanese Scientists : A Transnational History of the Nuclear Age
Project/Area Number |
20730121
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
International relations
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Research Institution | Fukushima University (2010-2011) Nishogakusha University (2008-2009) |
Principal Investigator |
KUROSAKI Akira Nishogakusha University, 行政政策学類, 准教授 (00302068)
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Project Period (FY) |
2008 – 2011
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Keywords | 外交史 / 国際関係史 |
Research Abstract |
(1)本研究は、パグウォッシュ会議(以下PCと略称)とその日本グループの活動を主たる考察対象とし、トランスナショナル・ヒストリーの視点から核時代を捉え直そうという試みである。主な考察時期は、1950年代中葉から1970年代末までとする。これは、東西冷戦を背景として米ソ両国が熾烈な核軍備競争を繰り広げるなか、「恐怖の均衡」の下で平和の維持が図られた時代である。PCは、こうした国際環境の中で核の脅威の低減や世界平和の確立を模索し続けたトランスナショナルな非国家主体であった。本研究は、PCの活動の軌跡を跡付けながら、そこで日本グループが果たした役割や歴史的意義を検討することを目的とする。また、そのような非国家主体に焦点を合わせることによって、国家中心の冷戦史や国際政治史とは異なる視点から核時代の国際関係を描き直すことも目指している。 このような問題関心から、研究機関においては日本国内外での史資料調査を実施し、核軍備管理・軍縮問題へのPCの取り組みを実証的に解明する。特に核抑止を基礎とした軍備管理・軍縮の推進がPCの基本的立場として確立、定着するプロセスとその背後にあった政治力学を分析する。また、湯川秀樹と朝永振一郎という二人の科学者の足跡を軸に、日本グループの活動の実態を多角的に考察し、その歴史的意義をトランスナショナル・ヒストリーの観点から検証する。 (2)上記の目的のため、研究期間を通じて日本国内外で史資料調査を進めながら、論文の作成・発表を行う。具体的にはパグウォッシュ会議の活動で中心的役割を担った科学者の個人文書を海外の研究機関で調査する。また、日本グループの活動の実態を解明するため、同グループの中心メンバーであった湯川秀樹と坂田昌一の個人文書を調査する。こうした文書史料を補完するために日本グループの活動に関わった人物への聞き取り調査も行う。加えて、社会運動研究、戦略研究、軍備管理研究、冷戦史研究、日本政治外交史研究など様々な分野の先行研究の成果を活用してパグウォッシュ会議や日本グループの活動を多角的に分析するため、国会図書館や法政大学大平社会問題研究所などで史資料の調査を行う。
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