2011 Fiscal Year Annual Research Report
IMFの対日政策と日本-日本のIMF8条国移行(1952年~64年)を中心に
Project/Area Number |
20730122
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Research Institution | Oita University |
Principal Investigator |
柴田 茂紀 大分大学, 経済学部, 准教授 (60411063)
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Keywords | IMF / 貿易自由化 / 国際機関 / 通商政策 / 自由化政策 |
Research Abstract |
本研究の課題は、「IMFの対日政策と日本-日本のIMF8条国移行(1952年~64年)を中心に」である。日本が貿易を自由化し、IMFの8条国に移行するなかで、国際機関であるIMFとどのような協議を行い、それが現実の政策にいかに反映されたのか検討するものであった。 貿易・通商関係は、必ずしも二国間ベースでのみ協議・実現されていくものではない。当然ながら、多国間の枠組みの中で構築されていくものも存在する。本研究は、日本の貿易政策の立案・実施にあたり、二国間・多国間関係のそれぞれを視野に入れることを意識している。とりわけ、国際機関であるIMFと日本との関係に焦点を当てることで、日本の貿易政策のうち貿易自由化政策の初期段階を整理しようとするものである。 最終年度である本年度(平成23年度)は、そうした理論的背景を積み上げながら、貿易自由化の経緯と背景を整理し、研究成果の一部として、「貿易協定の半世紀とその変化」という論文をまとめた。かつての貿易自由化は、各国の国内事情が反映されるような多様な例外事項が認められていた。それは、国内の政治経済的な安定が優先されていたからである。しかしながら、近年は各国の国内事情そのものが取引相手国や国内企業にとっての新規参入障壁と認識され、かつて許容されていたものさえも自由化が進むという現象が生じてきた。ジョン・ラギーによるとかつては「埋め込まれた(制限された)自由主義」の時代であり、近年は「脱埋め込み(埋め込みの解除)」の時代と区分される。こうした推移の中で、貿易自由化の意味がいかに変化したのか、それを貿易協定という側面から整理し、まとめたのが本年度の研究成果である。
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