2010 Fiscal Year Annual Research Report
2部門最適経済成長モデルの最適経路の動学分析とその応用
Project/Area Number |
20730126
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Research Institution | Yokohama National University |
Principal Investigator |
藤生 源子 横浜国立大学, 国際社会科学研究科, 准教授 (80431394)
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Keywords | 経済理論 / 経済成長 / 経済動学 |
Research Abstract |
本研究の目的は2部門最適経済成長モデルの最適経路の導出及びその動学を分析することであるが、22年度は特にLeontief-Shinkai 2部門モデルにおける2周期解に関して研究を行った。研究成果は『Period-by-Period Minimum Value Loss Policy and Two-Period Cycle in the Leontief-Shinkai Two-Sector Growth Model : A Geometrical Approach』としてまとめた。以下は主要な結果である。 Khan-Mitraによる幾何学的手法を用いて、毎期ごとのバリューロスを最小化するような計画(the period-by-period minimum value-loss policy)が政策として与えられたとき、常に2周期解が存在することを証明した。また、政策の形状がトラッピングスクエア内においてテントマップになるとき、2周期解は常にnon-attractingなサイクルとなることを示した。つまり初期値がそのサイクル上から少しでも外れると経路は2周期解には収束しない。一方、政策の形状がトラッピングスクエア内においてチェックマップになるときは、2周期解は常にattractingなサイクルとなることを示した。つまりどんな初期値から出発しても経路は必ず2周期解に収束する。さらに、後者のケースにおいては、the period-by-period minimum value-loss policyが実際に最適政策となる条件を証明した。つまり、限定的なモデルではあるが、将来効用を割り引く経済において最適経路が2周期解に収束することを示した。 サイクルに関する先行研究では、attractingサイクルが存在する条件に関する文献は稀少で、特に幾何的な条件を導出した点は新たな貢献といえる。
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Research Products
(1 results)