2009 Fiscal Year Annual Research Report
組織設計問題における情報収集・伝達のインセンティブに関する研究
Project/Area Number |
20730134
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Research Institution | Kagawa University |
Principal Investigator |
天谷 研一 Kagawa University, 経済学部, 准教授 (80379461)
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Keywords | 組織設計 / シグナリング / 均衡選択 |
Research Abstract |
組織設計問題における情報収集と情報伝達に関わるインセンティブの問題について、理論的研究を行った。 前年度に引き続き、RadnerやVan Zandtの考え方を基礎とした組織ヒエラルキー理論のモデルに、CrawfordとSobelの考え方を基礎としたチープトークゲームの分析手法を導入して理論分析を行い、組織形態とゲームの均衡において伝達される情報の関係について考察した。組織形態の違いによって均衡で伝達される情報がどのように異なるかを分析するための基礎付けとして、Spenceのシグナリングモデルでの均衡選択の問題について研究した。 当該研究では、生産性の高いタイプと低いタイプの2つのタイプの労働者からなるシグナリングモデルに完全予見動学の理論を導入し、以下のことが明らかとなった。第一に、生産性の高いタイプにとって分離均衡が一括均衡よりも望ましい場合には、分離均衡が安定的となる。第二に、選好が逆転し、一括均衡がある種のリスク支配条件を満たすときは、一括均衡が安定的となる。最後に、非効率的な一括均衡は安定的にはならない。 シグナリングモデルの均衡選択に関する先行研究では、均衡経路外の信念の妥当性が主な論点となっていたが、当該研究においては、均衡経路外となる情報集合がないため従来の考え方があてはまらないケースについても、リスク支配という観点から均衡選択の議論が可能になることが明らかになった。また、当該研究で考えられているような集団ゲームとしてのシグナリングゲームは、生産性の高いタイプ同士のコーディネーションゲームとしての性格を持つことも明らかとなった。
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Research Products
(1 results)