2008 Fiscal Year Annual Research Report
国際公共財の供給において不参加によるただ乗りを最も防止しうるメカニズムの設計
Project/Area Number |
20730135
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
若山 琢磨 Osaka University, 社会経済研究所, 講師 (80448654)
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Keywords | 経済理論 / ゲーム理論 / メカニズムデザイン |
Research Abstract |
国際公共財を供給する状況において, 社会の構成員が公共財供給メカニズムに参加するかどうかを自由に決めることができる場合, 全員が参加するようなインセンティブを持つ公共財供給メカニズムは設計できないことが既に判っている. それでは, 最も不参加によるただ乗りを防止しうる公共財供給メカニズムは何だろうか? この問題に答えるのが本研究課題である. 初年度に当たる平成20年度は, 文献調査および情報収集を行うと共に, 社会の構成員が公共財供給メカニズムに参加しないことも許容する枠組みにおいて, 自発的寄付メカニズムとパレート効率的な財配分を実現する公共財供給メカニズム(以下, 「パレート・メカニズム」と呼ぶ)を理論的に分析した. また, シミュレーションによって, その二つの公共財供給メカニズムのパフォーマンスを比較し, 自発的寄付メカニズムの方がパレート・メカニズムよりも均衡における参加率が高い傾向にあり, さらに自発的寄付メカニズムの方がパレート・メカニズムよりも高い期待効用水準をもたらす場合があるという興味深い結果を得た. 本年度の研究成果は, 共同研究者の西條辰義氏(大阪大学)および大和毅彦氏(東京工業大学)とで論文にまとめているところであり, 論文が完成次第, 国際的な学術誌に投稿する予定である. 来年度は, 本年度に得た結果を経済実験によって検証する予定である. また, 今年度は, 本研究課題と密接に関連するテーマである頑健なメカニズムの設計問題に関して, 水上英貴氏(富山大学)と共同で行った研究の成果を内外の学会で報告し, 藤中裕二氏(日本学術振興会)と共同で執筆した論文を公刊した. さらに, メカニズムデザインに関する著作を坂井豊貴氏(横浜国立大学)と藤中裕二氏とで共同執筆し, 出版した.
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