2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20730138
|
Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
祝迫 達郎 Ritsumeikan University, 経済学部, 准教授 (40351316)
|
Keywords | 経済理論 / 経済政策 / 特許政策 / 経済成長 / 経済厚生 |
Research Abstract |
本研究は特許権など知的財産権の保護強化の影響を動学的一般均衡で分析するもので、下記の2つの研究を行っている。1. 特許保護強化の1つの手段として特許期間の延長があるが、特許期間を延長することによって、その国の経済成長・経済厚生にどのような影響があるか、理論的に分析する。特許期間の延長は独占レントの総収益を増加させ、研究開発企業のR&D(研究開発)を促進する反面、独占による消費者の余剰減少の期間を延ばしてしまう。よって特許期間延長は経済厚生に相反する2つの効果を持つが、どのような特許期間が経済厚生を最大にするか、理論的に分析する。2. 近年、TRIPS協定などで発展途上国での知的財産権保護強化が促されているが、このような発展途上国での特許保護強化が、世界全体のイノベーションにどのような影響があるか。また、発展途上国の経済厚生にどのような影響があるか分析する。 1. の研究に関しては、先行研究のモデルを一般化した動学的一般均衡モデルを構築し、特許期間を無限期間から有限期間に変更したとき、民間企業のR&D、経済成長、そして経済厚生にどのような影響があるか、理論的に分析を行った。 2. の研究に関しては、具体的には技術を開発する先進国と先進国から海外直接投資を受ける発展途上国の二国経済のモデルを構築し、発展途上国での特許保護強化の影響を分析した。発展途上国での特許保護強化は、発展途上国での技術の利用を妨げるので経済厚生に負の影響がありそうだが、同時に先進国からの海外直接投資を促進する正の効果もあり、結果的には途上国の厚生を改善する可能性があることが示せた。
|