2010 Fiscal Year Annual Research Report
スコットランド啓蒙の経済思想の歴史的背景と特質-スミスとヘップバーンを中心に
Project/Area Number |
20730142
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Research Institution | Tokushima Bunri University |
Principal Investigator |
古家 弘幸 徳島文理大学, 総合政策学部, 講師 (30412406)
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Keywords | 国際研究者交流 / イギリス / 経済思想史 / スコットランド啓蒙 / アダム・スミス / テイスト / トマス・ヘップバーン / オークニー諸島 |
Research Abstract |
平成22年7月のEarly Modern Studies Conference(University of Reading)において、'The Pundlar Process and Eighteenth-Century Orkney'との題目で個別研究報告を行った。この報告をもとに、トマス・ヘップバーンの著書『オークニー諸島の貧困』(1760年)についての国内外初の研究論文を執筆し、「最果ての啓蒙-トマス・ヘップバーンの経済思想と18世紀オークニー諸島(1)(2)」として『経済学論究』に出版した。この論文により、『オークニー諸島の貧困』を当時の文脈に位置づけ、本研究の課題である「スコットランド啓蒙の経済思想の歴史的背景と特質」を明らかにする一環とすることができる。ヘップバーンについては、'Working the Peripheral into the Picture: The Case of Thomas Hepburn in Eighteenth-Century Orkney'との題目で英語論文をThe European Journal of the History of Economic Thoughtに投稿し、査読を通過した。並行して、アダム・スミスの道徳哲学の基礎にあるテイストの言語についての英語論文'A Language of Taste in the Moral Philosophy of Adam Smith'を、The Kyoto Economic Reviewに出版した。この論文を踏まえて、日本イギリス哲学会の関西部会研究例会と研究大会において個別研究報告を行い、スミスの倫理学における感情についての議論や、経済学における価値や価格についての議論の記述を支えたテイストの言語が、ストア哲学とキケロを起源として構成されていくプロセスについて、最初の研究成果を発表できた。「スコットランド啓蒙の経済思想の歴史的背景と特質」のなかで、従来あまり触れられることのなかった側面を取り上げた研究である。
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