2008 Fiscal Year Annual Research Report
連続な政策変数を用いたプログラムおよび政策評価の計量時系列分析の理論と応用
Project/Area Number |
20730145
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
荒井 洋一 The University of Tokyo, 大学院・経済学研究科, 講師 (50376571)
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Keywords | 政策評価 / ノンパラメトリック / 時系列データ / 為替介入 |
Research Abstract |
本年度の研究においては, 政策評価の分析において、政策変数が連続変数でかつ従属的である場合の政策評価の分析問題を考えた。より具体的には一般的なNonseparableなモデルにおいてどのような政策効果ならば識別できるかということを考えた。そこではImbens and Angrist(1994, Econometrica)によって提案された局所的平均政策効果、LATE(Local Average Treatment Effect)の考え方を連続な政策変数の場合へ拡張し、操作変数を用いることにより、連続な政策変数に基づく政策を評価できることを示した。より詳しく述べると政策の効果は従属変数と政策変数の操作変数に関する条件付き期待値の関数として与えられることを示し、その解釈を与えた。 そして政策の効果が条件付き期待値の関数で与えられることを利用してノンパラメトリックな手法を用いた推定方法を提案した。より具体的には政策の効果が4つの条件付き期待値に基づくため、それぞれの条件付き期待値を局所線形回帰により推定することを提案した。それは局所線形回帰が偏りや分散などに関し他のノンパラメトリックな方法よりも優れていることが知照れているためである。またDelta methodを用いて漸近的な偏り、漸近分散、漸近分布を導出した。 最後に以上で提案された方法を外国為替市場の介入の問題に適用した。この問題において政策変数は為替当局の介入額となり連続変数であり、興味のある政策効果は為替の変化率が介入によりどれだけ変化するかということを評価することである。以上のことにより上で提案された方法が為替介入の効果を分析するにあたり非常に適した問題であることがわかる。そこでは為替介入の効果が既存の研究よりも大きくなることが示された。
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