2010 Fiscal Year Annual Research Report
連続な政策変数を用いたプログラムおよび政策評価の計量時系列分析の理論と応用
Project/Area Number |
20730145
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
荒井 洋一 政策研究大学院大学, 政策研究科, 助教授 (50376571)
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Keywords | 政策評価 / ノンパラメトリック / 局所線形回帰 / 為替介入 |
Research Abstract |
昨年度の研究においては、条件付きの局所平均政策効果(LATE)を拡張し、条件付きの局所平均政策効果を条件付きの変数に関して平均をとったもの(Averaged LATE)の推定方法を提案した。 本年度の研究においては、まず昨年度の研究の拡張を行いAveraged LATEの統計的性質を厳密に検討した。より具体的にはU統計量の理論をもちいて、漸近分布の導出を行った。漸近分布の導出においては、クロスセクションデータのみならず時系列データを用いた場合にも、分析が行えるように非常に一般的な仮定の下で漸近分布の導出を行った。 そして以上において導かれた計量分析理論をもとにして日本の通貨当局による円ドルの為替市場への介入の効果の分析を行った。この分析においては、政策に影響を与える操作変数として、過去60日間の移動平均と日本の祝日のダミー変数の2種類を用いた。分析期間は財務省の財務官の任期をもとにして分割したものを用いた。分析の結果としてはまず2つの操作変数のどちらを用いても非常に類似した結果が得られた。理論的に局所平均政策効果は、操作変数に依存するパラメータであるが、どちらを用いても類似した結果が得られたということは、分析結果の頑健性の可能性を示す結果である。また、1991-1995年と2003-2004年の為替介入の回数が非常に多かった時期において、為替介入の有意な効果得られた。そこで得られた効果は、線形モデルを用いた既存の研究よりも非常に大きな効果が推定されたのが非常に興味深い。
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