2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20730146
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Research Institution | University of the Ryukyus |
Principal Investigator |
牧 大樹 University of the Ryukyus, 法文学部, 講師 (60423737)
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Keywords | 閾値自己回帰 / 構造変化 / 単位根 / 共和分 |
Research Abstract |
本年度の研究では, 非線形モデルによって表される共和分関係を考える場合にモデルの特定化を誤ると, どのような影響が観察されるかを分析した。具体的には, 共和分ベクトルが既知の場合, つまり単位根検定を行う場合, マルコフスイッチングモデルに対して複数の構造変化を考慮するモデルを適用すると, どのような影響が出るかを検証した。分析の結果は, マルコフ過程の遷移確率と変化の程度に大きく依存することが明らかとなった。定数項の変化の程度が大きく持続性が高い場合には複数の構造変化を考慮することが有効である一方, 頻繁な変化が起きる場合には有効でないことが示された。 また, TAR(threshold autoregressive, 閾値自己回帰)モデルと構造変化モデルにおいて, モデルの特定化を誤ったときにどちらのモデルが定常性を発見するには効果的であるかを検証した。一般的には事前にデータ生成過程を判断することはできないので, モデルを誤る可能性は十分に考えられる。特に, TARモデルと構造変化モデルは線形モデルを適用した場合の影響が大きい。そのため, これら2つのモデルを考えることは重要となる。比較検証した結果, TARモデルは構造変化モデルの定常性を発見しやすいのに対し, 構造変化モデルはTARモデルの定常性を発見しづらいことが明らかとなった。これらの結果から, TARモデル考慮した検定は事前に非線形モデルが特定化できない場合においても, 比較的正確な検定を行えることが明らかとなった。
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