2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20730146
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Research Institution | University of the Ryukyus |
Principal Investigator |
牧 大樹 Ryukoku University, 経済学部, 講師 (60423737)
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Keywords | 共和分 / 非線形 / モデル特定化 |
Research Abstract |
本年度の研究では、STAR(smooth transition autoregressive,円滑遷移自己回帰)モデルやTAR(threshold autoregressive,閾値自己回帰)モデルによって表わされる均衡への調整過程を持っ共和分関係が存在する場合に、モデルの特定化を誤ると共和分検定にどのような影響が出るかを分析した。モンテカルロシミュレーションの結果、共和分の調整過程が高い持続性を持つSTARやTARモデルによって表わされるとき、代表的な共和分検定の検出力が著しく劣ることが示された。したがって、STARやTARモデルによって表わされる共和分関係が存在する場合には、通常の検定ではなくそれらのモデルに基づく検定が必要となる。 そこで、次の段階として、STARやTARモデルに基づく共和分検定を提案した。これらの共和分検定は、帰無仮説で共和分なし、対立仮説でSTARやTARモデルに基づく調整過程を持つ共和分関係を持つ。本研究で提案した検定を様々な想定の下で代表的な共和分検定と比較すると、標本の大きさや均衡への調整過程の持続性が増加するときに、本研究で提案した共和分検定の検出力が代表的な共和分検定より高くなることが明らかとなった。 これらの分析結果から、応用研究者が非線形性を考慮する共和分分析を用いて実証研究を行う際に、適切な検定法の下で検証を行えるようになる。それによって、そこから導き出される政策的な議論なども確かなものとなりうる。
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