2008 Fiscal Year Annual Research Report
金融資産の収益率過程に従属性がある場合の最適ポートフォリオの統計的推定
Project/Area Number |
20730147
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
白石 博 Waseda University, 理工学術院, 助教 (90454024)
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Keywords | 計量経済学 / 時系列解析 / 統計的推測 / モデル選択 / 数理ファイナンス / 多変量解析 / データマイニング |
Research Abstract |
当年度は、金融資産の収益率過程が(1)局所定常過程および(2)ARMA-GARCH過程に従う場合のリサンプリング手法を提案し、これらを用いた最適ポートフォリオ推定量を提案した。 まず(1)については時間毎に係数が緩やかに変動するARCH過程(tvARCH process)を仮定し、リサンプリングを使った平均分散最適ポートフォリオ推定量を提案した。観測系列を使って局所的な擬似最尤推定量を構成し、これらからi. i. d. の誤差の推定量を構成する。誤差推定量の経験分布から誤差を複製し、それを使って収益率を複製する。複製された収益率を使って、再度局所的な擬似最尤推定量を構成する。この擬似最尤推定量は真の母数の一致推定量であり、漸近正規性を持つ事が示された。平均分散最適ポートフォリオは、この観測系列の最終時点の母数の関数であると考え、擬似最尤推定量の関数で最適ポートフォリオを定義し、その漸近正規性を示した。 また(2)については収益率がARMA-GARCH過程に従うと仮定し、オーダーが既知の場合と未知の場合で、リサンプリングを使ってValue at Risk(VaR)有効ポートフォリオ推定量を提案した。まずオーダーが既知の場合、正規擬似最尤推定量(GQMLE)を使って誤差推定量を構成し、1時点先の収益率を複製する。GQMLEの漸近正規性より、複製した収益率と真の収益率の分布関数の一致性が得られた。またオーダーが未知の場合、正則条件の下で収益率過程をAR(∞)-ARCH(∞)表現し、ベイジアン情報量基準(BIC)を使ってAR(p)-ARCH(q)過程で近似する。これを使って誤差推定量を構成し、同様に1時点先の収益率を複製する。最終的に複製した収益率を使ってVaRの推定量を構成し、これを最適にするポートフォリオとしてVaR有効ポートフォリオ推定量を提案した。
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