2009 Fiscal Year Annual Research Report
金融資産の収益率過程に従属性がある場合の最適ポートフォリオの統計的推定
Project/Area Number |
20730147
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Research Institution | Jikei University School of Medicine |
Principal Investigator |
白石 博 Jikei University School of Medicine, 医学部, 講師 (90454024)
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Keywords | 経済統計学 / 統計数学 |
Research Abstract |
当年度は、1.各種効用関数の調査および2.各確率過程に対する最適なブートストラップ手法の調査を行った。 まず1.については従来の平均・分散最適化ポートフォリオの場合、分散では裾の重さを表現することが困難なことがら、近年、リスクの部分を分散(または標準偏差)の代わりにvalue at riskやlower partial momentを使って評価する手法が注目されている。本研究では、従属性のある収益率過程に対するブートストラップ手法を用いてこれらのリスクの推定量を構成し、最適ポートフォリオ推定量を提案した。 また、2.については、昨年度まで考えていたパラメトリックなブートストラップ法以外の手法についての調査をおこなった。パラメトリックな手法とは、モデルを仮定しパラメータの推定量をプラグインし、residualを複製するという手法であるため、モデルの特定化を誤るという危険性がある。一方、ノンパラメトリックまたはセミパラメトリックな手法として、Block Bootstrap,Wild BootstrapまたはFrequency Domain Bootstrapが提案されているが、適用可能な確率過程に注意する必要がある。Goncalves and Kilianは、Wild BootstrapをARCHやGARCHなどの非線形モデルにも適用可能であることを証明した。また、Nordman and Lahiriは、長期記憶過程に関してBlock Bootstrap,Frequency Domain Bootstrapが適用可能であることを示している。当年度は、各種ブートストラップ手法と適用可能な確率過程に関する調査に留まったが、ポートフォリオ推定に対する最適なブートストラップ手法は何であるかは今後の課題としたい。
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