2011 Fiscal Year Annual Research Report
金融資産の収益率過程に従属性がある場合の最適ポートフォリオの統計的推定
Project/Area Number |
20730147
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Research Institution | Jikei University School of Medicine |
Principal Investigator |
白石 博 東京慈恵会医科大学, 医学部, 講師 (90454024)
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Keywords | 経済統計学 / 統計数学 |
Research Abstract |
当年度は、本研究の総括として、1.各種最適ポートフォリオ推定量の調査2.その漸近理論の調査ならびに漸近有効な推定量の調査についてのまとめを行った。 まず1.については、従来の平均分散最適ポートフォリオの中にも、平均または分散を固定して分散または平均を最適化するモデル、シャープ比を最適化するモデル、市場価格指数等を利用したCAPMやファクターモデルを最適化するモデルがあることが分かった。また、それ以外にも、期待効用最大化問題として、HARA、CARA、CRRA最適化モデル、平均分散歪度最適化モデル、平均絶対偏差最適化モデルおよび近年注目されているαリスク最適化モデルなど多数のモデルが存在することが分かった。また、これらの全てのモデルは、ある関数の期待値を最適化することで解を得る事ができ、これらの最適ポートフォリオ推定量は、"Z-estimator"または"M-estimator"のクラスに該当することが分かった。具体的には、ポートフォリオ係数をパラメータとして各種効用関数の期待値を考え、それを最大化(M-estimator)またはその導関数を0(Z-estimator)にする解を最適ポートフォリオ係数とし、そのサンプルバージョンを推定量とすればよいと考えられる。 また、2.について、"Z-estimator"または"M-estimator"の漸近論については、van der Varrt(1998)やkosorok(2008)などに一般論は記載されており、本研究のようなセミパラメトリックの設定での漸近有効性の議論もある。特に本研究では、収益率過程に従属性がある場合を考えており、この場合は"条件付"期待効用を考える必要がある。このようなモデルに対して、サンプルバージョンを作るためには、bootstrap,marked empirical process,smoothing functionなどの手法を利用する必要があることが分かった。これらの先行文献により、一般論としての最適ポートフォリオ推定量の漸近分布が記述できることが分かったが、具体的なケースについての理論は構築できていないため、今後の課題としたい。
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