2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20730156
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
小原 美紀 Osaka University, 大学院・国際公共政策研究科, 准教授 (80304046)
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Keywords | 格差 / 健康 / 資産 / 計量分析 / マイクロデータ / 日本 / 家計行動 / 時間配分 |
Research Abstract |
まず, 資産(豊かさ)と健康状態について, 各国で行われてきた研究をサーベイした. サーベイは豊かさと健康状態に関係があるか, 何が健康状態を高めているかの2点に絞り行った. そして, サーベイ結果を参考に, 日本に関するマイクロデータを用いて以下の点について計量分析を行った. 一点目として, 予備的な行動により健康状態は高まるかについて, 研究者自身が2006年に行った『家計のリスクに関する調査』を用いて分析した. 分析により, 禁煙や良い食事といった生活習慣や睡眠時間の確保が, 将来の健康状態を良くすることが示された. 分析にはMulti-Variate Probitモデルを用いており, 健康状態が高まりやすい人ほど予備的行動を取りやすいという逆の因果関係による内生性の問題を取り除いている. 操作変数として, 個人のリスク回避度や時間選好率などの個人属性を用いることで, それらが予備的行動のとりやすさに影響することも確認された. 現在, 論文を執筆中であり, 来年度には学会で報告する予定である. 二点目として, 豊かさと健康状態の関係について, (財)家計経済研究所による『消費生活に関するパネル調査』(1993-2006年)を用いて分析した. 分析により, 豊かな家計ほどその後の健康状態が良いことが示された. 個人の健康状態は良いか悪いかという2値の回答であり, 前年度までに健康だった者は翌年も健康であるといった持続性があるため, Autocorrelationを考慮したDynamic (Panel) Probit Modelを用いた. データとして捉えにくいような個人に特有の性質が健康状態に重要な影響を与える可能性は, 固定効果を捉えることで取り除いた. 分析にはMaximum Simulated Likelihood Estimationを用いた. 現在, 論文を執筆中であり, 来年度の学会で報告する予定である.
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