2008 Fiscal Year Annual Research Report
教育のシステムデザインに関する理論分析ならびに実証研究
Project/Area Number |
20730158
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Research Institution | University of the Ryukyus |
Principal Investigator |
岩橋 培樹 University of the Ryukyus, 法文学部, 講師 (50423736)
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Keywords | 経済理論 / 教育の経済分析 / システムデザイン |
Research Abstract |
研究初年度となる2008年度は、教育の動学的な意思決定を記述する理論的枠組みの構築および各種実証分析を目的として、関連研究のサーベイや理論モデルの洗練化、データベースの構築に従事した。 理論モデルの構築に関しては、各個人がそれまでの教育成果を前提として、自身の適性や能力に関する期待値を条件付きでアップデートし、効用を最大化するよう教育に関する意思決定を各期に行う動学的理論モデルの構築に努めた。そこでは、早い段階での専門化(もしくは才能の選抜)は(最終的な教育成果が不確実であるがゆえに)個人を過度なリスクにさらす一方で、専門化を遅らせることは、非効率な教育につながる。こうしたトレードオフに直面した状況で、専門化を行うタイミングならびにその選抜基準に関して望ましい教育システムのあり方を理論・実証両面から検証することを目指している。 一方で実証面では、チェスのトーナメントプレイヤーのランキング制度ならびに将棋の奨励会制度を題材として、その競争を通じた訓練・選抜プロセスを動学的意思決定モデルに沿って構造推定を行う作業に努めた。そこで導かれた主要な結論は、チェスプレイヤーの意思決定において外部の機会費用が決定的に重要である、将棋の奨励会システムは才能の発掘という観点からは必ずしも効率的ではない、というものであり、その成果は研究会で発表するとともに論文としてまとめ、近く専門誌に投稿するべく準備を進めている。
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Research Products
(1 results)