2011 Fiscal Year Annual Research Report
教育のシステムデザインに関する理論分析ならびに実証研究
Project/Area Number |
20730158
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Research Institution | University of the Ryukyus |
Principal Investigator |
岩橋 培樹 琉球大学, 法文学部, 准教授 (50423736)
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Keywords | 教育システム / 動学的意思決定 / 不確実性 |
Research Abstract |
研究最終年度にあたる平成23年度は、教育のシステムデザインをテーマとしたこれまで3年間の研究内容を深化させるとともに、研究の総括として研究成果の公刊に努めた。 本研究の特徴は、動学的意思決定モデルに基づいて教育システムのあり方を模索している点にある。そこでは各個人が、それまでに受けた教育の成果を前提として、自分自身の適性や能力に対する合理的期待を形成することで教育に関する意思決定を各期にわたって行っていく。そこでは、早い段階での専門化は、教育成果に不確実性が伴うゆえに、個人を過度のリスクにさらす一方で、専門化が早いほど効率的な教育成果が期待できる。こうした教育のトレードオフを理論的に記述することで、専門化を行うタイミングや選抜の方法に関して考察を行い、望ましい教育システムのあり方を模索した。教育の不確実性に着目し、教育を通じて能力・適性が明らかになっていく過程を記述することで、教育を経済学的観点から分析可能にしている点が本研究の意義である。 こうした理論モデルを活用することで、ヨーロッパ各国で専門化のタイミングが年々遅くなっていることや各国間の専門化のタイミングの違いを説明した。具体的には、ヨーロッパの18か国の教育統計に基づいて専門化のタイミングについて実証することで、労働市場における不確実性が高い国ほど専門化が遅くなる傾向があること、また、不確実性の高まりによって専門化が晩期化していることを説明した。 以上の研究成果を論文どしてまとめて専門誌に投稿し、今年度、海外専門誌に掲載される運びとなった。
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Research Products
(1 results)