2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20730159
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Research Institution | Aomori Public College |
Principal Investigator |
猪原 龍介 Aomori Public College, 経営経済学部, 准教授 (20404808)
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Keywords | アジア / 産業立地 / 空間経済学 / 集積の経済 / 輸送費 / 貿易 / 要素賦存量 / シミュレーション |
Research Abstract |
本研究では、アジアの地理空間に対応した多地域からなる空間経済学のモデルを構築し、アジア地域内の経済活動の地域間分布と地域産業構成について、シミュレーション分析を行う。経済活動がどのような国や地域に立地するかということは、一国の経済政策のみから決まるわけではなく、課税競争の理論研究に見られるように、他国の経済情勢、政策の如何にも影響される。加えて、ここで見逃してならないのは、その国の「地理的な条件」の果たす役割である。つまり、空間経済学において大都市が一定の間隔をおいて分布することが指摘されるように、経済活動の集積地点は互いに一定の距離を置いて形成されることが考えられる. こうした地理的(距離的)な要素に加え、各国の土地賦存量、賃金水準、インフラストック、税制、経済開放度などを考慮した上で、アジア地域内の経済活動の立地を分析し、また産業集積を形成するための有効な政策を考える。 以上の研究目的に従い、申請者(猪原)は昨年度、空間経済学に基づく多地域モデルを構築し、アジアの地理空間における経済活動の立地についてシミュレーション分析を行っている。その結果、次のことが示された.(i)原材料/製品輸送費比率の低下とともに経済活動の集積傾向が強まること。 (ii)輸送費の低下とともに立地が分散から集積、再分散へ変化すること。ここに土地や社会資本分布を導入し、アジア10ヵ国における経済活動の分布についてシミュレーション分析を行うと、(iii)輸送費の低下とともに経済活動は分散から中国への集中、インドへの集中を経て、再分散化することが示された.ただし、以上の分析ではアジアの地理空間を国単位に分割しており、地理空間を厳密には捉えられていない.
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