2009 Fiscal Year Annual Research Report
金融グローバル化が発展途上国の不平等と貧困に及ぼす影響に関する研究
Project/Area Number |
20730168
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
KANGKOOK Lee Ritsumeikan University, 経済学部, 准教授 (00367989)
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Keywords | 金融グローバル化 / 所得格差 / 貧困 / 経済成長 |
Research Abstract |
本研究は、発展途上国における所得分配と貧困に対する金融のグローバル化の影響について明らかにする、3年間の研究課題である。研究期間の中で2年度目に当たる2009年度は、グローバル化に関するデータ、各国の所得分配に関する歴史的データなど各国の資料を収集し、これらを元に執筆したサーベイ論文において回帰分析などの実証研究を進行させた。また韓国の金融開放と金融危機の事例を具体的に分析することに着手した。この研究によって、金融のグローバル化が所得分配に及ぼす効果は各国の制度と環境によってお互いに違うが、金融危機と直接投資などの経路を通じて所得不平等を悪化させる可能性があるということを明らかにした。したがって政府は慎重に金融を開放しなければならないし、より敷果的な金融規制と社会福祉などを通じて、このような悪影響を最小限にするように努力しなければならない。例えば、東アジアの成功的な経済発展モデルである韓国の場合、1990年代の性急な資本自由化によって1997年東アジア金融危機に直面し、これにより所得分配と貧困が大きく悪化した。しかし韓国では危機以後、金融のグローバル化が加速し金融部門は不安定な状況が続いている。特にアメリカで始まった2008年のグローバル金融危機はこのような問題点をよく見せてくれて、各国の所得不平等に悪影響を及ぼしている。 これらの研究の進行に基づき、学会発表および学術雑誌への論文発表をおこない、グローバル化と経済成長、所得分配、韓国の金融危機に関する研究発表を行った。特に、韓国とマレーシアなどの学会で金融グローバル化と経済危機、所得分配、そして韓国の事例に関する研究成果を活発に発表し、その成果を出版した。
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Research Products
(9 results)