2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20730170
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
野村 良一 Ritsumeikan University, BKC社系研究機構, 研究員 (60465599)
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Keywords | 技術選択 / 輪出補助金政策 / FTA |
Research Abstract |
本研究の目的は、輸出補助金政策や自由貿易協定(FTA)の形成といった各国政府が取りうる貿易政策が、各国の経済厚生や企業の技術選択にどのような影響を及ぼすのかを明らかにすることである。本年度は、主として、bilateral FTAの形成が自由貿易の実現のbuilding blocになるのかについて検討した。なお、研究発表等を踏まえて、当初の研究計画の1輸入国2輸出国からなる3国モデルではなく、各国が市場および企業を有する3国3市場モデルを用いて分析を行った。モデルの複雑化に伴い、今年度は企業の技術水準を所与として分析し、次の主たる結果を得た。1、FTA締結の交渉を行う2国間の市場規模が大きく異ならなければ、bilateral FTAは形成される。2、域外国を加える形でのbilateral FTAの拡大は実現しない。3、overlapping FTA、hub-and-spoke systemの形成を通じて自由貿易が実現するかは、初期にどのような国の間でbilateral FTAが形成されているのかに依存する。これらの結果は、本研究の目的である、貿易政策が企業の技術選択にどのような影響を及ぼすかを考察する際に、各国の市場規模の差異が大きな役割を果たすことを示唆している。なお、本研究は"Does a Bilateral FTA Become a Building Bloc for Free Trade? "(joint with T. Ohkawa, M. Okamura, and M. Tawada)として纏められており、関連する海外査読誌への投稿準備中である。また、本年度は、1輸入国2輸出国からなる3国モデルを用いて、両輸出国政府による輸出補助金政策が両国企業の技術選択にどのような影響を与えるのかに関する研究も、1輸出国のみが補助金政策を行うとしたこれまでの研究を両輸出国政府が補助金を拠出するモデルへと拡張することによって行った。
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