2010 Fiscal Year Annual Research Report
企業内の生産性指標と個人レベルの生産性に関する質的・計量的実証分析
Project/Area Number |
20730173
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Research Institution | Tezukayama University |
Principal Investigator |
井川 静恵 帝塚山大学, 経済学部, 准教授 (20461858)
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Keywords | 労働経済 / 生産性 / 従業員意識調査 / 技能形成 |
Research Abstract |
本年度の研究目的は、一昨年、昨年度にひきつづき、従業員の生産性の実態、決定要因、および向上要因を明らかにすることであった。生産性、特に技能形成の実態および決定要因について、製造部門に対して行った聞き取り調査をもとに、従業員意識調査のデータを加え、時系列的な分析、特に個人を複数年追跡したパネルデータの計量経済学的分析を行った。企業における個人の生産性指標としてISOデータから力量評価を用いて技能レベルの変数を作成・使用した結果、職務経験年数が重要であることなどが明らかとなった。今後、本研究をより精緻化していくことにより、学問的には労働経済学における生産性研究への新たな貢献となることが、また、社会的には、生産性向上のためのインプリケーションが得られることが期待される。 具体的な研究実績は、以下のようになる。平成20~21年度に調査対象とした企業に引き続き協力いただいた。 1.調査協力企業から人事マイクロデータ(従業員の年齢や処遇についてのデータ)および技能形成(力量評価)に関するISOデータを入手した。これらのデータを用いて論文を作成し、平成22年7月の日本労務学会で、個人の4年間の生産性(技能形成)の決定要因をメインとした報告を行った。 2.同企業を対象に5回目となるアンケート調査(従業員意識調査)を実施した(平成22年6月)。本年度の分析と合わせて、得られたデータを今後活用していく予定である。平成22年9月には、企業に対して結果を報告し、従業員らと、意見交換を行った。なお、アンケート実施のため、平成22年4~6月は調査項目の精査と実施準備作業を行った。アンケート調査終了後は、データの入力・整理作業、および基礎的分析を行った。 3.本年度執筆したこの論文を、英語で書き直す作業を現在進めており、今後発表予定である。
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