2009 Fiscal Year Annual Research Report
ロシアにおける金融制度と経済成長との関連に関する研究
Project/Area Number |
20730174
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Research Institution | Asahikawa University |
Principal Investigator |
大野 成樹 Asahikawa University, 経済学部, 准教授 (50333589)
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Keywords | 金融制度 / 経済成長 / ロシア / ベクトル誤差修正モデル |
Research Abstract |
今年度の研究は、経済体制転換の混乱期を経て世界有数の高成長国となったロシアにおける金融・成長関係を、さらに掘り下げて分析することに充てられた。 分析においては、金融発展の指標として、貨幣供給量M2のGDP比もしくは銀行の貸出残高のGDP比を用い、一人当たり実質GDPおよび国際原油価格もモデルに組み入れた。また、データのサンプル期間は、1999年第2四半期から2008年第2四半期までの37期とした。 本分析は、単位根検定およびヨハンセンの共和分検定の結果に基づき、ベクトル誤差修正モデルを用いることにした。長期の金融・経済成長関係を明らかにするために、共和分ベクトルに制約を課して分析を行った結果、M2・GDP比から経済成長への因果性が見られる一方、経済成長から貸出・GDP比への因果性が見られることが明らかになった。この一見矛盾する結果は、ロシアの特徴を表している可能性がある。すなわち、原油価格上昇のもとで、ルーブルが増価する傾向が見られたが、ロシア中央銀行のドル買い介入が、不十分な不胎化のもとで貨幣供給量を増加させた。この結果、株式市場や不動産市場に資金が流入し、株価や不動産価格の上昇が起こり、資産効果から消費が拡大、最終的に経済成長につながった可能性がある。他方、こうした経済成長のもとで、企業や個人の経済活動が活発化し、銀行が個人や企業向けの貸出を増加させた可能性がある。このように本年度の研究は、ロシアの銀行部門が経済成長を先導する役割を十分に果たしていないことを計量的に示すことができた。
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