2009 Fiscal Year Annual Research Report
観察的学習による社会規範の生成と維持についての国際フィールド実験
Project/Area Number |
20730180
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Research Institution | Nagoya University of Commerce & Business |
Principal Investigator |
佐々木 俊一郎 Nagoya University of Commerce & Business, 経営学部, 専任講師 (50423158)
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Keywords | 観察的学習 / 社会規範 / 実験経済学 / 社会的選好 / 同調 |
Research Abstract |
本年度は、日本・米国・中国の居住者計約2000名を対象として、インターネット実験を実施した。インターネット実験では、「独裁者ゲーム」に類似する「配分ゲーム」を再現し、被験者は他の被験者と初期賦存額の配分を行った。本実験では、各被験者が他人の社会的選好の観察的学習が不可能な状況とそれが可能な状況の両方において初期賦存額の配分を行うという実験デザインを採用した。この実験デザインにより、観察的学習が不可能な状況と可能な状況において被験者の配分ゲームにおける行動が異なっていれば、当該被験者の社会的選好は、他人の社会的選好に影響を受けていると解釈することが可能となる。本年度は、一連の実験結果を分析したうえで、論文「観察的学習と社会規範の生成:インターネット実験による分析」および"Conform or Nonconform: Observational Learning and Social Preference"を執筆した。上記論文では、(1) 他人の社会的選好の観察的学習が可能な場合には、被験者は他人の社会的選好に非同調するよりも同調する割合が高い、(2) 観察的学習時に被験者は利己的に行動を変化させるよりも向社会的に行動を変化させる割合が高い、(3) 観察した他人の社会的選好が同じ場合には、利己的同調よりも向社会的同調をする被験者の割合が高い、等を報告している。こうした結果は、他人の行動の観察的学習そのものが被験者の向社会的行動を促進させ、社会規範の生成と維持に寄与していることを示唆している。
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