2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20730184
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Research Institution | Toyama National College of Maritime Technology |
Principal Investigator |
内田 秀昭 Toyama National College of Maritime Technology, 国際流通学科, 助教 (20452724)
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Keywords | 経済成長 / 中国経済 / 財政制度 / 経済政策 |
Research Abstract |
本研究は財政制度の内生性を考慮することによって, 財政制度の変化が一成当たりGDP水準に与える効果を正確に推定することを目的としている. そのために, 平成20年度は次のように研究の実施を行った. はじめに, 先行研究とその後続研究のサーベイを行った. 操作変数法を用いて社会的インフラと経済成長の関係を実証的に分析しているHall and Jones(1999)やその後続研究であるAcemoglu, Johnson and Robinson(2003)と中国の各省における地方分権制度と経済成長の関係について実証分析を行っているZhang and Zou(1998), Lin and Liu(2000), Jin et al(2005)の研究を中心にサーベイを行った。その結果, Hall and Jones(1999)では地理的な条件が操作変数として使われ, Acemoglu, Johnson and Robinson(2003)では過去の社会状況が操作変数として利用されていることがわかった。また, Zhang and Zou(1998), Lin and Liu(2000), Jinet al(2005)ではそのような逆向きの効果を考慮した分析は行われていないことがわかった。 つまり, 中国の地方分権制度を扱っている上記の先行研究では適切な推定方法が取られていないことになるが, その問題に対して, 中国の財政制度が一成当たりGDPに与える効果を同時方程式モデルで分析する際にも, 操作変数の候補として地理的条件や過去の社会状況などが利用可能であろうという結論が本年度の研究から得られた. この結果は, 推定式を設定し, 操作変数法あるはGMMで推定を行うという今後の研究を進める上で重要な具体策を示しているといえる.
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