2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20730184
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Research Institution | 富山高等専門学校 |
Principal Investigator |
内田 秀昭 富山高等専門学校, 国際ビジネス学科, 助教 (20452724)
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Keywords | 経済成長 / 中国経済 / 財政制度 / 経済政策 |
Research Abstract |
本研究は財政制度の内生性を考慮することによって,財政制度の変化が一人当たりGDP水準に与える効果を正確に推定することを目的としている. そのために,平成21年度は次のように研究の実施を行った.前年度に行ったHall and Jones(1999),Zhang and Zou(1998),Lin and Liu(2000),Jin et al(2005)でなどの先行研究のサーベイに基づき,本研究において原型となる推定式の定式化を試みた.入手した中国統計年鑑のデータをもとに,中国の各省別の地域内総生産および財政支出を整理・加工した.財政分権化の指標については,各省ごとの支出のうち地方政府による支出が占める割合と定義し,計算を行い,それらのデータを用いて通常の最小二乗法と操作変数法により推定を行った.推定を行う際,操作変数として過去の財政分権化の指標を用いた.これは過去の変数は現在の被説明変数から影響を受けないという性質を利用している.推定の結果,最小二乗法による推定結果と操作変数による推計結果の間には大きな係数の差があることを確認した.これは当初の予想通り財政分権化と経済成長の間には相互依存の関係があることを示唆していると考えられる. また,以上の研究を九州経済学会において報告した際に,中国の研究者から,中国の格差は豊かな地域には多くの財政支出が行われるため,より豊かになり,豊かでない地域には財政支出があまり行われないため,地方の格差はより拡大する傾向があるという実状について,今後の研究に活かせる助言を得た.
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