2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20730184
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Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
内田 秀昭 三重大学, 教育学部, 教授 (20452724)
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Keywords | 経済成長 / 中国経済 / 財政制度 / 経済政策 |
Research Abstract |
本研究は中国における財政制度の変化が経済成長の代表的な指標である一人当たりGDP水準に与える効果を推定することを目的としている。 そのために、平成23年度は次のように研究の実施を行った。前年度までに行った先行研究のサーベイ、原型となる推定式の定式化、そのモデルを利用しての実証分析では十分にとらえることができない社会的な事象についての文献調査を行った。これまでの推定結果では中国における経済発展プロセスの質的変化を十分に研究にとりいれることができなかったが、文献調査により民間部門の活用や経済特区の設定など市場経済化に向けた中国政府の経済政策や取り組みを理解することができた。特に改革開放前と改革開放以降に行われた経済政策の転換や90年代に行われた税制の改革などが中国の所得格差と経済成長率に与えた影響を知ることができた。 中国では共産党体制が確立しているため政策による経済の主導という面が強いので、政策がどのような状況で変更されるのかという政治的な問題を考慮しなければならないと考えられる。そのような点まで実証分析に導入することができれば,より精度の高い実証結果が得られるという着想に至った。 その他、中国史の研究者との議論から中国経済の歴史的特異性を知ることができた。中国民族特有の経済観や格差に対する考え、および中国経済の制度が歴史的にどう変化してきたのかを知ることも重要であるという点についても認識することができた。今後は以上のような点も考慮してさらなる分析上の改善を求めていきたい。
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