2008 Fiscal Year Annual Research Report
国際収支不均衡と金融・財政政策:最適政策ルールに基づく理論・実証分析
Project/Area Number |
20730185
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
工藤 健 Nagasaki University, 経済学部, 准教授 (70404316)
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Keywords | 経常収支 / 持続可能性 / 財政政策 / マルコフ・スイッチング・モデル |
Research Abstract |
「財政収支構造の変化が経常収支におよぼす影響」については, 財政政策の変化が民間経済主体の行動を変化させる可能性があるという視点から分析を実施して, 「米国の財政政策の変化と経常収支の持続可能性 : 財政政策に対する民間部門の反応の変化を考慮した分析」にまとめた。 理論分析においては, 家計や企業の通時的な意思決定に関する標準的なマクロ経済理論を整理して, 財政収支の変化が民間経済主体の貯蓄投資行動におよぼす影響を考察した。 また, 上記の理論分析に基づいて, アメリカの国際収支および国民経済計算データに基づいて, 実証分析も実施した。具体的には, 民間の貯蓄や投資が財政収支の変化に対してどのように変化していくかを, 民間経済主体の時間視野の長さに応じて2つのタイプに分類してマルコフ・スイッチング回帰により分析した。 その結果, 1980年代後半と2000年代初めに民間経済主体の行動に近視眼的な動きが見られるものの, 他の時期には総じて長期的な視野に立った行動がなされていることが分かった。ただし, 近視眼的な行動がとられた時期の影響を, 他の時期に相殺するまでには至っていないため, その影響が蓄積していると考えられる。 「国際資本移動の不完全性と最適金融政策ルール」の研究については, その一部分をなす研究として, 代替的新興市場(Alternative Investment Market)の創設による国内での資金の流れの変化とそのマクロ経済的な影響について, 日本の新興市場のデータを用いた分析を共同研究で実施し, 証券経済学会全国大会で報告した。
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Research Products
(2 results)