2009 Fiscal Year Annual Research Report
国際収支不均衡と金融・財政政策:最適政策ルールに基づく理論・実証分析
Project/Area Number |
20730185
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
工藤 健 Nagasaki University, 経済学部, 准教授 (70404316)
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Keywords | 財政政策 / 持続可能性 / マルコフ・スイッチング・モデル / 長期経済統計データ |
Research Abstract |
「財政収支構造の変化が経常収支におよぼす影響」については,開放経済における政府債務の持続可能性と財政規律の観点から,日本の長期経済統計データに基づいて実証分析を実施した。その結果を"Fiscal Discipline and Sustainability of Public Debt : An Empirical Analysis using Japanese Long-term Economic Statistics"という論文にまとめ,Annual American Business Research Conferenceにおいて報告した。 その結果,以下の内容が明らかになった。(1)単位根検定を用いた分析によると,現時点で日本の政府債務は持続可能である。(2)日露戦争後から第1次世界大戦頃までと,第2次世界大戦後から石油危機までの期間において財政規律が強く働いており,1980年代後半においてもある程度財政規律が復活した。(3)第2次世界大戦後の日本の財政規律は戦費の増大がないにもかかわらず,規律を失った戦前とほぼ同じ経路をたどっている。 以上の結果は,小国開放経済と考えられる戦前(戦費拡大以前)において,財政規律の維持が重要な政策課題であったことを示唆するものである。 「国際資本移動の不完全性と最適金融政策ルール」については,理論モデルとシミュレーションの修正作業が当初よりも膨大なものになっており,学会報告のために作業を進めているところである。
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Research Products
(1 results)