2008 Fiscal Year Annual Research Report
量と質のリスクを考慮した水供給の制度設計に関する研究
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20730188
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
桝田 ちさと (朝日 ちさと) Tokyo Metropolitan University, 社会科学研究科, 准教授 (90457812)
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Keywords | 水道供給 / リスク / 不確実性下の便益評価 / 信頼性 / 厚生測度 |
Research Abstract |
1990年代以降、国際的に水供給の民営化の大きな流れが続いている。日本の水道事業においても、人口減少及び財政難を背景とした構造改革の一環である地方公営企業の経営改革の観点から、第三者への業務委託の制度化、公の施設の指定管理者制度の創設、地方独立行政法人法の施行等によって可能となった多様な供給制度の導入に関する検討が進んでいる。しかし一方、公益事業の市場化については、電力自由化における2003年の北米大停電やアメリカ・エンロン社の破綻など、市場化による供給制度の変化が安定供給を損なう事態をもたらした経緯がある。水の供給においても、国際的には市場化によって水質の悪化や料金の高騰が生じて社会問題化した事例が報告されている。公益の観点から安定的な供給が要請される水資源を、市場メカニズムの活用によって配分する制度を構築するためには、水という財の特性が配分の効率性にもたらす影響を検討することが必要とされている。本研究は以上の問題意識のもと, 水道による水供給の信頼性が確保される制度設計を検討するために, 水道システムにおける量と質のリスク及びリスク対策の制度と評価について、経済学的観点による整理を行なったものである。 第一に、水道による水の供給システムと, その量的・質的リスクの変遷と捉え方を整理し、現行の供給制度における量的・質的リスク対策の設定と運用の事例をとりあげ、その問題点を考察した. 第二に、それらを踏まえ、リスク下の供給制度の評価を可能とするために最適な信頼性の評価モデルを提示し、厚生経済学の理論に基づきリスク回避的な経済主体の場合に適用すべき厚生測度を整理した。最後に, 水供給の量的・質的な信頼性と効率性を両立するための制度設計に必要な視点をまとめた.
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Research Products
(3 results)