2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20730202
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
山口 昌樹 Yamagata University, 人文学部, 准教授 (10375313)
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Keywords | 国際金融 / 銀行業 |
Research Abstract |
本年度は2つの研究を遂行した。1つは韓国を対象として外国銀行と地場銀行との間に貸出行動に違いが存在するかという研究課題である。市場行動の比較には取引相手とする債務発行者の属性(上場、格付けの有無、業種)、債務の発行条件(スプレッドの水準、期間、担保の有無、発行通貨)、資金使途やシンジケート規模といった項目を用いた。こうした項目に外国銀行が手がける案件と地場銀行が手がける案件とで差異があるのか、個々の変数について平均の差の検定や比率の差の検定によって検証した。さらに項目を包括的に勘案した上でも違いが検出できるのかについては重回帰分析を用いた。分析結果は外国銀行と地場銀行との行動の違いを検出しており、この違いはビジネスモデルの違いに起因することが分かった。この分析は『アジア経済』に発表した。 もう1つは中国を対象にして外国銀行による地場銀行への出資を検証した。2001年のWTO加盟以降に中国は銀行部門の対外開放を進めた。その一貫として外国銀行が戦略投資家として中国の地場銀行へ出資する動きが活発化している。こうした出資は資本増強だけでなく外国銀行からの技術協力をも期待したものである。そこで外国銀行からの出資を受けた地場銀行において効率性の改善という効果が実際に現れているかを検証した。銀行の財務データを用いてデータ包絡線分析によって効率性を計測して外国銀行の出資が効率改善に有意な効果をもたらしたかをパネルトービット分析で検証した。結果は城市商業銀行においてのみ効果が確認されるという意外なものであっか。この分析は『証券経済研究』に発表した。
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