2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20730203
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
薮 友良 University of Tsukuba, 大学院・システム情報工学研究科, 講師 (90463819)
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Keywords | 為替介入 / 高頻度データ / 内生性 / MCMC / 為替レート / 為替介入 / data aumentation / auxiliary variable |
Research Abstract |
為替介入の効果を分析するには、為替レートの変化と介入額の間にある内生性の問題を解決する必要がある。我々は、内生性の問題は高頻度データを使えば低下する、と考えている。既存の研究では、内生性を解決するために、1日前までの情報を使って、通貨当局は今日の介入額を決定していると仮定している。しかしこれは非現実的な仮定であろう。これに対し、我々は、通貨当局は1時間前までの情報を使って現在の介入額を決定する、というより現実的な仮定をしている。ここでの問題は、データの利用可能性である。為替レートはもちろん時間当たりで利用可能であるが、介入データは日次でのみ公開されている。そこで、本研究では、マルコフ連鎖・モンテカルロ法 (MCMC) を用いることで、高頻度の介入額を推計した上で、介入の為替レートへの効果をHourlyデータを使って推定する (詳しくは、時間当たり介入額をauxiliary variableとして扱い、MCMCによって未知パラメータと時間当たり介入額の同時分布を求める)。この新アプローチを使って、1991/4/1〜2002/12/31における日本の介入効果を推定した。その結果、1兆円の為替介入は、円ドルレートを1.7%変化させることが、わかった。これは、1ドル=100円のとき、1兆円の介入により為替レートを1.7円動かす、ことを意味する。先行研究では、介入効果が0.6%程度であったことを考えると、内生性を除去することで介入効果が倍以上となること、が確認された。これらの結果は、モデルの定式化を変えても頑健な結果であることが示された。以上の結果は、内生性の問題が、介入効果を推計する上で重要であること、また我々の手法が内生性を解決する上で有効であること、を示している。
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Research Products
(1 results)