2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20730203
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
藪 友良 Keio University, 商学部, 講師 (90463819)
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Keywords | 為替介入 / 高頻度データ / 内生性 / MCMC / 為替レート / 為替介入 / data augmentation / auxiliary variable |
Research Abstract |
本研究では、マルコフ連鎖・モンテカルロ法(MCMC)を用いることで、高頻度の介入額を推計した上で、介入の為替レートへの効果をHourlyデータを用いて推定する(詳しくは、時間当たり介入額をauxiliary variableとして扱い、MCMCによって未知パラメータと時間当たり介入額の同時分布を求める)。この新アプローチを使って、1991/4/1~2004/3/31における日本の介入効果を推定したところ、1兆円の為替介入は、円ドルレートを1.7%変化させることがわかった。これは、1ドル=100円のとき、1兆円の介入により為替レートを1.7円動かす、ことを意味する。先行研究に比べて、介入効果が倍以上となっていた。また、構造変化の可能性を考慮して、分析期間を3分割((1)1991/4/1~1995/6/20、(2)1995/6/21~2003/1/13、(3)2003/1/14~2004/3/31)したところ、(1)期において介入は有意ではないこと、(2)と(3)は有意な効果を持っているが、(2)期において効果はより顕著であることを見出した。 日本の通貨当局は2003年初から2004年春にかけて大量の円売りドル買い介入を行っていた。この時期は、介入の分析をするうえで、他の時期とは異なる期間であり、注意して扱う必要がある。「量的緩和期の外為介入」という論文の中で、当時,日本銀行によって実施されていた量的緩和政策と、この時期の介入が、どのように関係していたかを検討した。その結果として、円売り介入により市場に供給された円資金のうち60%は日本銀行の金融調節によって直ちにオフセットされたものの残りの40%はオフセットされず,しばらくの間,市場に滞留していた。また,不胎化された介入と不胎化されない介入を比較すると,為替相場に与える効果は後者の方が強い傾向が見られ,ゼロ金利の下でも,介入が不胎化されたか否かによって為替への効果に違いがあることを示していた。
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Research Products
(3 results)