2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20730203
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
藪 友良 慶應義塾大学, 商学部, 准教授 (90463819)
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Keywords | 為替介入 / 高頻度データ / 内生性 / MCMC / 為替レート / 為替介入 / data augmentation / auxiliary variable |
Research Abstract |
本研究では、マルコフ連鎖・モンテカルロ法(MCMC)を用いることで、高頻度の介入額を推計した上で、介入の為替レートへの効果をHourlyデータを用いて推定している(詳しくは、時間当たり介入額をauxiliary variableとして扱い、MCMCによって未知パラメータと時間当たり介入額の同時分布を求める)。この新アプローチを使って、1991/4/1~2004/3/31における日本の介入効果を推定したところ、1兆円の為替介入は、円ドルレートを1.7%変化させることがわかった。これは、1ドル=100円のとき、1兆円の介入により為替レートを1.7円動かす、ことを意味する。 スイスは、他の国と異なり、秒次の介入額を公開している。スイスのケースでは秒次のデータが利用可能なため、もちろん我々の手法を用いる必要はない。単純に、秒次のデータを用いて、為替の変化率を介入額で回帰すれば不偏推定量が得られる。しかし、我々の手法が効果的に機能しているかを見る上で、スイスのデータは魅力的と言える。つまり、スイスのデータを使えば、我々の手法を用いた推定結果が、秒次のデータを用いた推定結果とどれぐらい違うのかを調べることができる。まず、スイスでは、介入額が日次でしか利用可能ではないと仮定して、我々の手法を使って介入効果を推定した。そして、秒次のデータを用いた推定結果と比較したところ、推定結果はほとんど同じであった。これは、我々の手法が効果的に推定できていることを意味する。 我々の手法は、シュミレーションを通じて不偏性があること、また標準誤差が小さいことが示された。また、スイスのデータを通して、その推定が信頼できることが明らかとなっている。以上から、我々の手法を用いて推定された日本の介入効果の信頼性は高いと言えよう。
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Research Products
(1 results)