2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20730206
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Research Institution | Kinki University |
Principal Investigator |
玉井 寿樹 Kinki University, 経済学部, 講師 (00456584)
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Keywords | 公的資本 / 経済成長 |
Research Abstract |
本年度の前半では、次年度の理論・実証分析に向けての研究動向の把握及び各種データの収集・整理に注力した。また、本年度の後半では前半での研究成果を踏まえて、財源となる税・公債等について現実的な仮定を置いたうえで、公共投資の理論的分析を展開した。 その結果は、本研究の「Dynamic Analysis on Public Investment Policies in an Endogenous Growth Model」、他3編の論文としてまとめられた。とりわけ、上記表題の論文は、最適公共投資の条件がArrow-Kurzにより指摘された「限界生産力均等化条件」を公的資本の維持更新の生産効率(ないしは費用)によるウェイトづけで修正された条件になることを示している。同時に、公的資本の維持更新の生産効率によって、経済成長率も大きく変動することが明らかになっている。このことは、必ずしも積極的な投資を行う必要なく、限られた財政資源を適切に配分することにより、経済成長を促進することを含意している。 これらの論文は、現実的な税制度や近年の実証研究の成果を受けて構築された数学モデルによって分析を行ったもので、得られた公共投資の効果及び最適公共投資政策は、今後の公的資本の整備の指針となりうるものである。 また、本年度執筆した論文については日本応用経済学会全国大会(金沢大学)、各種研究集会等において報告を行った。学会等で受けた指摘をもとに、モデルの頑強性の検証、政策含意の精査等を行い、来年度中に学術雑誌に投稿することによってその成果を問う予定である。
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