2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20730207
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Research Institution | Kyoto Gakuen University |
Principal Investigator |
森田 圭亮 京都学園大学, 経済学部, 講師 (70467265)
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Keywords | 経済政策 / 財政学 / 経済理論 |
Research Abstract |
平成22年度には、次の3つの課題に取り組んだ。まず、租税回避を考慮したときの消費税の在り方について分析をおこなった。消費税には従量税と従価税と呼ばれる2つのスタイルが存在する。前者では取引量に応じて税額が決まり、後者では価格に応じて税額が決まる。本研究は、租税回避を抑制するという点に注目したときに、従量税は従価税よりも優れていることを明らかにした。ただし、税の在り方は発生する租税回避の規模だけではなく社会厚生の大きさにも注目して考えるべきである。そこで、後者の視点に力点を置いた再検証も行っている。第2に、ペナルティ構造の在り方に関する研究について、前年度行った研究結果の一般化を試みた。税務調査の結果として納税者に金銭的ペナルティを科すときに、多くの国が回避税額に依存してその額をきめる方法を採用している。しかし、本研究の結果から、所得税の構造次第では、そのような方法よりもより効果的に租税回避を抑えられるペナルティの賦課方法が存在することがわかった。第3に、タックス・シェルターを活用した租税回避行動やそれに対する税務行政の在り方について分析を試みた。研究計画当初の時点では、タックス・シェルターを活用した租税回避の問題はそれを利用する納税者とそれに関する知識提供者の契約関係が重要なカギを握ると考えていた。ところが、研究を進めていくにつれて、そのような産業が持つ特殊な構造にも注目する必要があることがわかってきた。今後は、契約理論および産業組織論の両側面からこの課題に取り組んでいく計画である。
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Research Products
(2 results)