2008 Fiscal Year Annual Research Report
マスメディア報道が株式市場に及ぼす影響に関する実証研究
Project/Area Number |
20730213
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
阿萬 弘行 Nagasaki University, 経済学部, 准教授 (70346906)
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Keywords | 金融論 / 株式市場 |
Research Abstract |
今年度は、マスメディアの情報伝達メカニズムを実証的に解明するための第一段階の作業を行った。投資家が情報を受け取り、それを処理するプロセスは、投資家の認知能力・心理的バイアスによって影響を受ける可能性がある。こうした側面を解析するためには、投資家の受け取る情報自体の内容・性質を見ることが必要となる。そのために、テキスト分析手法に関しての調査を行った。テキスト分析は、データマイニング手法の一つして分類されるが、統計的手法を用いた多変量解析と比較して、参考となる文献は少ない。全体的には、主にアンケート調査結果に対する評価を行うための分析が多いようである。今回SPSSのテキストマイニングソフトを用いて、新聞、報道記事に対して試験的な分析を行ってみた。新聞記事を個々に手動で検索することは困難であるが、このソフトウェアの「抽出」機能によって、自動的な分類作業が行える。日本経済新聞を用いて、日本の代表的な企業について抽出作業を行った。このプロセスでは、品詞やキーワードの感性が分類される。計量的な分析を行う上で、こうした価値評価の定量化は有用である。また、「カテゴリー」化を試行的に行ったところ、抽出作業と比較して、記事に対する肯定的・否定的評価の分類よりもむしろ、報道内容を端的に示す概念を取り出すという利点が大きいことが分かる(例として「生産」「開発」等)。これら新聞記事の特徴付けによって、今後の可能性として、タイプの発生する時点と証券価格変動の関連性を分析することができる。また、前年度から進めている企業固有ボラティリティ分析のモデルを応用することで、新聞記事タイプとの関連性を見ることができる.
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