2009 Fiscal Year Annual Research Report
マスメディア報道が株式市場に及ぼす影響に関する実証研究
Project/Area Number |
20730213
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Research Institution | Konan University |
Principal Investigator |
阿萬 弘行 Konan University, 経済学部, 准教授 (70346906)
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Keywords | 金融論 / 株式市場 |
Research Abstract |
本研究計画では、マスメディア報道と株式市場の関連性を実証的に解明することを目的としており、これに沿って、今年度は、メディアの個別企業報道状況のデータ化および株価の情報効率性指標作成を行い、実証研究を遂行した。具体的には、日経テレコン21を用いて新聞報道記事データベースを検索し、個別企業に対する引用回数(メディアカバレッジ)を計測した。株式市場での価格形成については、極端な株価の変動を示す指標として、クラッシュおよびジャンプ頻度を計測した。先行研究と照らして、この指標は、株価が個別企業情報を反映するタイミングの早さを捉えると期待できる。つまり、逐次的かつ適時に情報が反映されるとき、クラッシュ頻度は抑制される。基本的には、メディアカバレッジとクラッシュ頻度の二つを主な変数とした回帰分析によって、マスメディア報道がよりタイムリーな情報反映に貢献することで、クラッシュ頻度を低減させるのか、あるいは反対に、集中的な報道がクラッシュ頻度を増加させるかについて検証を行った。現段階での実証研究の結果から、個別企業でのマスメディア報道量の増加は、株価のクラッシュ頻度を増幅させる効果が出ている。研究成果は、マスメディアの情報伝達機能が、企業と投資家間の情報流通および株価反映にどのような効果をもっているかという点の解明に資する。従来その社会的重要性に比して研究蓄積の乏しい当該分野に対して、新たな知見を提供するものである。これまでにまとめた研究内容は、名古屋大学および大阪大学での研究セミナーにおいて報告した。その後逐次、追加・修正点の改訂を行っている。
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