2010 Fiscal Year Annual Research Report
地域及び企業における気温リスクヘッジの必要性に関する研究
Project/Area Number |
20730215
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Research Institution | Iwate Prefectural University |
Principal Investigator |
TEE KianHeng 岩手県立大学, 総合政策学部, 准教授 (70325140)
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Keywords | 異常気象 / 会社四季報 / 気温リスクヘッジ / Burnin Cost法 / 確率分布法 |
Research Abstract |
本年度は1976年以降で異常気象と言われた年について会社四季報に載っているすべての企業を調べ、どのような業種が影響を受けるかを調べた。夏なら猛暑と冷夏、冬なら暖冬・厳冬と言われた年を調べた結果、冬(暖冬・厳冬)よりも夏(猛暑・冷夏)の異常気象の影響を受ける企業が多いことがわかった。たとえば、電力会社とガス会社は夏と冬の異常気象の影響をすべて受けるが、食料品関連企業は夏の異常気象の影響を強く受ける。更に、関連企業(製缶や印刷など)も間接的に異常気象の影響を受けることがわかった。たとえば、飲料品関連企業が冷夏で売り上げが減少することで、関連企業で炭酸を供給している企業や製缶企業までその影響を受けて売り上げが減少することになる。よって、これら企業は収益の安定性という観点から天候リスクを回避する必要があると思われる。 また、気温オプションを設計し、Burning Cost法と確率分布法を用いて保険料(オプション商品の価格)について分析を行った。Burning Cost法は気温データをもとに分析を行右方法であり、確率分布法は気温データを正規分布と仮定したシミュレーション結果をもとに分析を行う方法である。どちらの方法も保険料計算でよく用いられている方法であるが、Burning Cost法は現実のデータを用いていることから確率分布法よりも保険料は低くなる結果となった。また、近年温暖化傾向にあると言われていることから、1990年以降のデータを用いて同様な分析も行った。47都道府県庁所在地のうち、多くの地点では暖冬・猛暑の方が厳冬・冷夏よりも高い保険料が必要という結果となった。すなわち、1990年以降各地で気温が上昇していると思われる。
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